なぜ僕らは教育を生業とし、今ここで働いているのか

f:id:rissi-kanbu:20210819021035p:plain


きっと、何らかのモチベートの源泉があるからだと思う。

生徒の成長や保護者からの感謝が代表的なものだと思うが、

果たして本当に、

それだけで僕たちは頑張ってきたのか。

そして、今後もこの職を続けていけるのだろうか。

 

今回は、その非常に抽象的な

「やる気」や「頑張り」というものに迫り、

その様相を明らかに、またその変化を捉えていくことで、

モチベーションの保ち方について書いていきたいと思います。

 

 

「やる気」の定義も時代と共に変わっている!? 

メディアアーティストで筑波大学教授の落合陽一氏が、

「21世紀はモチベーションの時代だ」と言っていました。

 

なぜなら、テクノロジーやシステムがどれほど発達しようが、

それらには「自らがこうしたい!」というモチベーションがないからだそうです。

 

一言にモチベーションといっても、

何やら得体の知れないやる気のようなものではなく、

モチベーションの形は時代を経る過程で変化し、その段階が生じてきたようです。

 

 

「モチベーション1.0」

<生きていくための対価としての賃金or対価>

人間が持つ最も原始的なやる気であり、「生理的動機付け」という。

「生きるためのやる気」といった動機付け。

Ex.「お腹が空いたからご飯を探しに行こう」「子孫を残すために子供を作ろう」など。

 

「モチベーション2.0」

<賃金の変形物(評価やステータスも含む)と言い得る対価>

アメと鞭による動機付けで、「外的動機付け」と言いう。

「外からの刺激により対象者を頑張らせる」

「高い報酬などのインセンティブ」といった動機付け。

Ex.「高いインセンティブがあるから」「上司に命令され、やらないと怒られるから」など。

 

「モチベーション3.0」

<仕事に夢中になっている状態、仕事を通した自己実現自体が対価となっている状態>

モチベーション3.0とは、2010年にダニエル・ピンク氏が提唱した動機づけ方法。

激動の時代を生き抜く上での、柔軟かつ強靭な行動を生み出すためのモチベーションで、「内発的動機付け」という。「自分の内側から湧き出るような動機付け」

Ex.「楽しいから頑張る」「世界の平和を守るために頑張る」「実力をつけたいから頑張る」など。

 

何やら、「マズロー欲求段階説」に似ていますね…。

マズロー欲求段階説」はこちらから ↓ ↓ ↓

マズローの欲求5段階説とは? 知っておくべき心理の法則 - STUDY HACKER|これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディア

 

これらのモチベーションの段階は、

日本の時代変化も表していると思います。

 

1.0=戦後世代〜高度経済成長

(食べていくのに必死だった時代)

 

2.0=高度経済成長〜バブル期世代

(物やステータスを欲するようになった時代)

 

3.0=ロスジェネ〜今の世代

(変化を求められるスピード感の早い時代)

※ロスジェネ:ロストジェネレーションの略(1970〜1982年に生まれた世代で就職氷河期に就活していた世代)

 

※それぞれの年齢層の知人を想像してみてください。

ちょっと年代別に価値観が異なっている感じがしませんか?

これが所謂「ジェネレーションギャップ」というやつです。

モチベーションにもジェネレーションギャップがあったんですね。

 

そして、今

3.0を内包しながら、4.0時代に差し掛かっています。

 

これに関してはまだ定義がなされていないので、

みなさん自身で考えてみて欲しいです。

 

 

僕の考える「モチベーション4.0」時代とは、

「真に自由に生きる」ための動機付け。

モチベーションを自分で自由に「カスタマイズ&ブレンド」していく時代ということです。

 

自分が納得感や満足感を得られるように、

またそれと同時に、自身が所属する組織にプラスなことを編み込むように、

自分のモチベーションをしっかりとカスタマイズしていくこと。

それが「真に自由に、自分を生きる」ということです。

 

個人主義に傾倒している現代を象徴しているかと思います。

 

ここで大切なことは、「編み込むこと」です。

1つの価値基準だけで生きていくにはあまりにも不安定な時代だからです。

個人と組織における自身を分離させてしまうのではなく、

統合しながら両者を成立させ得るモチベーションの持ち方が

丁度「今」の時代のモチベートの在り方だと考えています。

 

 

一口に、「やる気」「モチベーション」と言っても

それぞれの時代における定義や様相が異なっていますね。

そして、今の時代のモチベートを分かっていないと、

生徒や保護者への適切な声かけや伴奏が難しくなってしまうので、

覚えていきましょう。

 

現に、生徒との進路面談等でこのような場面に遭遇していることと思います。

「非常に学力が高いのに、実業系(調理食品系や工業系)の高校を志望する生徒」

・地元への愛が深く、地元の食材を使った料理店を開き盛り上げていきたい!とか、

・お婆ちゃんが入所している介護施設の食事があまりに美味しくなさそうで、それを解決したい!とか、

 

その為に自分が料理の道に進みたいです!

みたいな生徒だった場合、どうしますか?

 

ここで問題になるのが、

生徒自身のモチベーションが、2.0的マインドなのか、3.0的マインドなのかによって、その後の指導が大きく左右されます。

 

2.0的マインドとは、

その職業に就くことだけが目標となっており、

自分がどのような働き方や生き方をしているのか考えていない場合です。

夢至上主義の進路は、ともすると、

高度経済成長〜バブル期(物やステータスを欲する時代)の感覚と似通っており、

今の社会に出てから非常に困難な道を歩むことに繋がりかねません。

 

また、

「生徒の志望を基に伴走し指導する」

「更なる可能性を模索するために想いは大切にしつつも都市部への進学を推奨する」

のどちらのスタンスを取るのかも問題になってきます。

 

果たしてどちらが正解なのでしょうか。

 

未だ旧態依然とした価値観で、

「なんとなく周りがそう言っているから」

「親が望むから」

「この地域ではそれがステータスだから」

という価値観の場合は、後者で指導していきたいし、

 

自分の可能性や選択肢が狭まってしまうリスクを負いながらも、

今できる「リアリティ」を大切に生きていくという価値観を重んじている生徒であれば、前者の指導になっていくでしょう。

 

答えは、1つではありません。

 

ただし、前提を言えば、

後者を推奨し、

それをどのように納得性高く生徒と保護者にプレゼンできるか。である。

 

なぜなら、我々は教育産業に従事する営利法人であり、

高校での継続や、大学入試に向かっていかないと、売り上げが減少してしまいます。

売り上げ減少は、社員への報酬へ直結し、

これを果たした状態でなければ、1.0〜2.0の時代へ逆戻りしてしまうからです。

 

はわわわわ.....。

早速矛盾が生じてしまいました。

こんな時、どのように我々は生徒を教え導き、

かつ、自身の成長と組織の成長を両立させるのでしょうか。

 

①その生徒が「どんな規模で」「どのような事を」「どんな風に」実現したいのかヒアリングすること。

②最終的な人生目標に必要なルートを複数提示し、それに必要な「投資」と「回収」と「リスク」を説明すること。

 

今回の場合であれば、

残酷な言い方をすると下記の問題に直面する。

・飲食店の経営は非常に難しく、三年以内の廃業率が70%であること。

・地元への経済効果や活性化まで夢を見ていたら、そもそも方向性(地方創生系の政策を考える業務となり)が違うこと。

・一調理師に施設全体の調理に関する予算決定や方針の変更をする権限が与えられないこと。

・調理まで高品質に提供する事業所が地元にあるのか。都市部の方が多い。

など。

 

生徒面談を例に挙げてみましたが、

夢や目標を1つ掲げるのは美しいですが、

その状態や、並行してやってくる諸問題を解決する事まで考えないと

理想の追求は難しいことが分かります。

 

最終的なゴールは1つでもいい。

しかし、登り方のルートや、努力するパターンは複数存在し、

そのためのモチベーションもそれぞれ切り分けてカスタムすることが必要になります。

 

決して戦略的に全てを行うことが美徳と言っている訳ではなく、

行為自体の純粋性(調理して喜んでもらうこと自体に夢中になり満足できる)があれば、

あらゆる困難を乗り越えていくだろうし、

そうでない場合は、自分自身が何によって満足たらしめるのか要素分解し、

それぞれの要素のバランスをカスタムしていくことが必要になるでしょう。

 

僕を含め、現代の多くの人が感じているであろう「自己への不完全感」は、

所詮は集団組織の中での「序列」や「優劣」の意識から生まれているに過ぎないものであり、

それらから自らを解放して生きていく為には、

 

①現状を咀嚼する「言語力」「論理性」「読解力」と、

②自らを動かし続けるための、モチベートの源泉を認識する「メタ的」視点

 

が必要になります。

 

 

モチベーション一つ取ってみても、

前提となる知識習得や自己分析など、いろいろしなくてはなりませんね…。泣

 

嘆いても仕方がないので、進んでいくための話をします。

 

 

「高い専門性=変態性」が現状を突き破る武器になる。

今の時代求められていることは、「高い専門性」の掛け算です。

「高い専門性」×「高い専門性」がアイデアを生み出し、

現状をツマラナクさせている諸問題を解決していきます。

 

専門性は、シンプルに言うと「自分にしかできないこと」です。

どんなに小さなことでも良いので、自分にしかできないことを見つけ、

 

それを深めていくことが創造的に人生を生きていくために重要だと落合氏は説いています。

 

さらに、その専門性の幅が狭すぎると失敗の確率が高くなるため、

その幅をある程度広く取った「変態性」が必要だとも。

 

変態性というと、誤解を招きかねないですが、

代表がよく言葉にする「狂気」や「熱狂」「執念」のようなものと捉えると、誤解がなく伝わるのではないでしょうか。

 

組織の変革を起こすためには、

何人もの変態が必要であり、

その一人一人が自分にとって気になる

「小さな解決したい問題」を見定め、

深く掘り下げていくことがすべての始まりとなるのです。

 

今年度の春の総会で昨年度の表彰があったのは記憶に新しいと思います。

受賞者の先生方は、それぞれ顧客から求められる塾の先生としての専門性である「教務」と、もう一つの変態性を帯びた行動(それぞれ異なる専門性)を掛け合わせ、成果を出しました。

 

河田先生は生徒・保護者への「共感性」と「言語表現&提案」

森垣先生は「社内随一のエクセル使い」と「任務遂行力」

吉岡先生は「紳士的な接遇」と「圧倒的な行動量」

牧先生は、圧倒的な「コミュニケーション量」と「熱意」

 

多くの内容に当てはまることですが、

自分の価値を認める強い「信念」がモチベーションを生み出し、

それらを組織の「理念やビジョンの実現」と編み込んでいくことが、

現状を打破していきます。

 

今回は、モチベーションと、変態性(専門性)について書いてみましたがどうだったでしょうか。

上記4人が他者との比較から来る優劣で受賞したのではありません。

行為に没頭する変態性を追求したからでしょう。

 

そして、それぞれ一人ひとりの先生方にも同様に、

この変態性が必ず備わっています。

 

個人の価値観にのみ紐づいた変態性は

組織においてはマイナスになりますが、

 

理念の実現や顧客のためになることに繋がっていく

個人が持つ変態性の追求は

必ず自分を大きく変革させる武器になっていきます。

 

塾人として、「教務力」という専門性の追求は継続し、

もう一つの武器になり得る変態性「Next One」を探していきましょう! 

 

「Feel like a first time!」

 

「自分が絶対にしたい!と思ったことは「絶対」にしましょう!」

 

f:id:rissi-kanbu:20210819024133p:plain



 

以上、幹部ブログ第一弾は佐野からお送りいたしました。

不定期ですが、濃いメッセージを配信していきますので、

みなさん是非読んで下さい。

いつか、社員報なる社内向け社員ブログをスタートしますので。笑