指示を通すって実は難しい。

ブログ継続宣言から約2か月弱、書くネタをずっと気にして生活しているせいか日々のちょっとしたことに対しての気づきが増えてきました。その中でも今回は、三現主義(現場・現実・現物)って大事だなと改めて思い知らされたことをご紹介します。

 

3学期から個別部門では有志の勉強会をしています。ご存じない方もいると思うので概要を簡単に説明すると、毎週金曜日の11:30-12:30の1時間、福知山市在住の先生は駅前教室に集まり、福知山教室以外の先生はzoomでつないで各自のHRbrainの能力開発で定めた目標に向かって勉強をしています。

 

先日、その勉強で岡村先生が数学ⅡBの問題集「基礎問題精講」を解いているのを何気なく見ていました。彼は、①問題をノートに解く、②丸を付けていました。ここまでは他の生徒でも見る同じ光景ですが、この次のアクションが僕にとっては衝撃的でした。岡村先生は丸付けを終えるとおもむろに赤ペンから鉛筆に持ち替えて次の問題を解くと思いきや、丸をつけた問題の解説部分を鉛筆で1文、1文丁寧になぞりながら読み込んでいるのです。僕は思わず彼に「何しているの?」と聞くと、「自分の書いた解法や考え方が合っているのか最終確認をしている。」とのことでした。問題が合っているかどうかの確認のレベルにとどまらず、解き方や考え方まで合っているかどうかを確認する彼の徹底ぶりに驚くとともに、自分が生徒に対して指導が不徹底だと感じました。生徒の自習しているときにこの観点も入れて、作業で問題をこなしている生徒がいたら是非させてみようと思います。岡村先生気づきの機会を与えてくれてありがとうございます!

 

このように、普段会わない先生との交流は自分との差異に気付くことができ、勉強にもなります。事象としてはちょっとしたことかもしれませんが、現場・現物・現実を自分の目で見ることの重要性を再確認した一日でした。

 

また、1学期は河田先生と2人で始めた勉強会を今は5名~6名で行うようになったことで変わったことは、佐野名言集より引用すると

「2人は関係、3人以上になると環境」

 

という言葉の効果をひしひしと感じています。2人で始めたときの勉強会の序盤は何回も「勉強をせんとお茶しにいこう。」「今日はしんどいから止めよう。」と口にしそうになりながら勉強していました。それが今では勉強会の日時はスケジュール化され、時間を取るのが苦しくもなく勉強しようという気持ちでやれています。能力開発の勉強がおもうように進まない先生がいらっしゃったら、自分の「気持ち」で勝負せずこの「環境」を利用して勉強してみるのはいかがでしょう?自主的な取り組みですので部門関係なくお待ちしてまーす。

 

「所作」も大事だけど、それよりも大事なものがある。

さて、今日のテーマは、「授業者の所作」についてです。このテーマから連想されるのは「話し方」「声の大きさ」「身振り・手振り」「視線の送り方」など動作に関することではないでしょうか?今回はこれら動作に関することよりも重要なことを1つご紹介します。また、今回紹介する内容は誰でも簡単にできるシンプルで効果性が高いことですので最後まで読んで試してみてください。

 

集団授業に限らず保護者会や社内会議など、感覚的には7名以上の人を相手に授業者やリーダーが場をコントロールできている状況・状態にするために気を付けるべきポイントは、「指示したことを全員ができるまで待つ。」ことです。「えっ?そんなこと?」って思う方は多いと思いますが、「全員」という部分がかなり重要で唯一の要素です

 

例えば、集団指導でよくある場面を元に説明します。集団指導の先生はイメージしてみてください。

授業の一場面で、先生は例題を説明して生徒に演習をさせています。過半数の生徒が解き終わった状態を確認した先生は例題の説明を行うために「では解説をするので前を向いて。」と言います。その時に何名かの生徒が夢中になって問題を解き続けていたり、単純にぼーっとしていて指示を聞き洩らす生徒は必ず一定数います。このときにこういった生徒を見逃し、先生は次の例題の説明を始めたとしましょう。そのとたん、この授業はとても混沌とした状態になります。混沌とした状態とは、次の例題を説明しているときに起こります。

1つ目は、指示が守れていなかった生徒は、説明を聞くタイミングが他の生徒に比べ遅れるので次の例題の説明を一部聞きそびれてしまい、先生の説明内容の理解がしにくい状態になってしまいます。結果、説明の途中や終盤くらいになると生徒から「先生、よくわからないのでもう一度説明して!」と声を上げる生徒や演習中に手が止まっていてもう一度説明を生徒1人1人にする羽目になります。

2つ目は、指導者が指示が守れていない生徒を見逃すことで生徒側に対して「指示を聞かなくてもよい。」ということがこの集団における暗黙のルールになります。そうなると先生が生徒に対しての指示が通りにくくなります。最初は小さいことですがこの状態が何回も続くと、結果的には成績を効果的に伸ばせない雰囲気・環境が出来上がります。

 

個別指導においても同様のことが言えます。私が個別の教室巡回をするときに教室の規範レベルを測る1つの目安にしているのが、「始礼」です。始礼とは、毎授業の初めの時間を使って、ブースの先頭に立った社員または講師があいさつやその日に伝えたい内容を話す業務のことです。この始礼の主な流れとしては、①開始のあいさつ・②連絡事項・③授業開始の挨拶の3つになります。また「始礼」の目的は、(1)休憩時間と授業時間の気持ちの切り替えを生徒に促す。(2)講師・生徒に対して伝えたい連絡事項や、講師にしてほしい業務内容を共有する。の2つになります。

悪い状態のときの始礼の状態は、始礼の担当者が前に立っても生徒は下を向いたままであったり、挨拶をしても挨拶が小さい、連絡事項を伝えていてもメモしません。始礼担当以外の講師も関心が薄く、ひどいときはしゃべっている間にタブレットをさわって他の作業をしていたりします。まるで生徒・講師たちは始礼担当者の話をBGMのように聞き流しています。

個別指導において重要なことは、生徒も講師も社員も「個」になりがちな教室をいかに「集団」として動かすかです。そのために「始礼」は最も効果的なツールなので個別指導の先生方も是非一度この観点で「始礼」を見直してみてください。

 

皆さんいかがだったでしょうか?もし自分は当てはまっていると感じられたら是非今日から始めてみてください。やることはシンプルです。

 

「自分の指示したことが全員できるまで待つ」のです。

 

この黙って「待つ」ことで生まれる間(ま)が場の緊張感やメリハリによって、皆さんの授業進行や教室運営の助けになってくれます。

 

それでは次回のブログではより具体的に「所作」の観点を整理しつつ、具体的に留意点を書きますので今回の指示の通し方と合わせて参考にしてみてください。